2019/09/06(Fri)
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2019/09/06(Fri)
Team Dobon2017/08/25(Fri)
フェアリングの作り方2 ~2015ver.~
いつかまとめようと思っておりましたので、新機体Etudeのフェアリングに関する製作記録の紹介をば。
フェアリングかよって突込みはあるとは思いますが、興味を持って頂いた方は何卒お付き合い願います。 説明が所々雑ですが、悪しからず…。 それでは本編スタートということで。 ●完成品の外観 まずは見た目から。 比較的低めでスリムな形状。 材料は発泡スチロール主体です。 部分的に発泡とザ・スリムのセミモノコック構造になっています。 内部は、製作をより簡単にするため骨材はできるだけ少な目に。 ![]() ●フレーム・パイロット姿勢 ![]() Etudeのフレームは、2011年鳥コン機Prestoの試験飛行形態と同じ3輪車式です。 試験飛行において抜群の安心感を誇ります。 パイロット姿勢に関してですが、膝の最高点と目の位置がおおよそ同じ高さになります。 腰から足にかけての角度は、最もパワーを出すための要求が決まっているそうです(パイロット談)。 パイロットはもっと寝た姿勢で飛べると言っていましたが、Prestoのコクピットパイプを流用する都合上、これ以上背中を倒せなかったのでこの角度になった、という当時のおぼろげな記憶。 余談:弊チームのエンジン紹介→リンク Prestoのときは頭の周りだけに視界を設けていましたが、今回は頭の位置がさらに下がり、視界的な事情により足先から風防で覆う形式を採用しました。 当初より車輪周りや操縦桿の改造計画があり、腰下から地面にかけてフェアリングの設計空間が不透明なまま設計・製作に入りました。 要は、後でいろいろ追加の要求が来たときに備えて空間にマージンを設けてあります。 車輪周り、操縦桿、パイロット姿勢の最適化を施せば、投影面積はさらに10%以上削減可能な余地があると思います。 ●フェアリングの設計 ・外形寸法 フィレット部を除いて、だいたい3000mm(L)×900mm(H)×480mm(W)です。 数値で見ると、見た目ほどは低くないです。 上でも触れましたが、フレームの改造計画のため、ノーズ下からボートに空間的余裕をもたせました。 また、そのついでに後輪の軸も覆ってしまおうという考えのもと、前方投影面積を多少の犠牲にしつつも後方の流れを整流することに注力しました。 全体として、後縁付近を除き、あらゆる方向で断面をとってもエッジが生じない滑らかな形状になっています。 ![]() 幅に関しては、腰下に操縦桿があるフェアリングとしてはかなり攻めたと思っています。 パイロットの腕や肩にフェアリングが常時干渉する程度に狭いです。 弊チームのパイロットは、姿勢に関してもそうでしたが「攻め攻めな仕様」が大好きです(たぶん 笑)。 ![]() ・後縁 パイロットの読んでいた自転車の本に書いてあった「後縁を適当にかっこよく成形しておけば問題ないぜHAHAHA!(意訳)」って思想です(というのは冗談)。 数パターンをCFDにかけ、圧力分布と流線をみながら当たりをつけて形状を決定しています。 当初は試作用フェアリングを1体作って飛ばしつつ、あとで詳細に煮詰めた設計で作り直すつもりでしたので、解析に関しては深いところまで取り組めていません。 「Stratford Recovery的な圧力分布に~」とか「乱流遷移からの圧力回復が~」等、それっぽい事を書ければ良かったのですが・・・今後の課題ということで。 リカンベント機のフェアリングではパイロットの手、肘、肩の位置に対応するようにある断面形状を適当に配置すると尻上がりになりますが、この場合下側からぐるっと気流が回り込み大きな抗力を生む場合があります。 断面形状だけにこだわらず、3次元的な流線を確認しながら設計した方が良いです。 特に後縁は、製作上の分割の都合等でエッジができる場合がよくあるかと思いますが、エッジが真っ直ぐでもその周りの気流は真っ直ぐに流れていきません。 ・前側(ノーズから後縁の直前まで) ノーズは足回りギリギリに、かつプロペラに無駄に近すぎないように。 あとはノーズ先端から最大幅までを、滑らかな曲線でつなぐだけ。 外形は、ノーズ先端からの流れがなんとか付いて来てくれそうなイメージでw パイロット視界は、結果論ですが過剰でした。 無駄なスペースがないため顔と窓が近く、少し横を見るだけで周囲がよく見えます。 前方視界は、パイロットの経験値依存な側面が強いとは思いますが、「もっと見えなくても平気」とのことです。 なお、パイロットの足上の窓(ノーズ上部)は設計上では3次元曲面になっています。 Prestoのときのように型をつくって熱成形する予定でしたが、結局のところ余裕が無くなりあきらめました。 段階的に窓の傾斜角度を変えてごまかしています。 設計通りの形状になっていません…。 (こんな前側に剥離のきっかけが…でも直後の傾斜部で再付着してくれそう、などなど言い訳。) あと、クランクの長さや取付幅を工夫できるなら、パイロットの足周りに余裕が生まれ、ノーズを小型化できます。 ノーズ先端を伸ばさずとも最大幅までより滑らかに太らせていくことができ、なだらかに圧力勾配を育てられます。 ・抗力の参考評価結果 図中の横軸は、任意単位として伏せています。 解析結果の妥当性確認および検証作業はまだ不十分です、悪しからず。 赤線は今回の設計候補案の1つだった形状で、比較対象の青線は、学生チーム時代に鳥コン用に設計した形状です。 両者は前方投影面積と後縁長さが極端に異なっています。 敢えて抗力係数値Cd [-]ではなく生の値Drag [N]で示しています。 乱暴な比較ですが、傾向くらいは見えるかと。 ![]() 解析対象は、フェアリング本体(各種フィレット込)と胴体パイプです。 パイプフィレットを含めてフェアリングだと思っていますので。 プロペラ後流はモデル化しないの?・・・っていうツッコミはなしでお願いしますw どこかのチームがプロペラ後流まで考えた非対称フェアリングとかやってるかと思いますので、そちらにお問い合わせ下さい。 上に示したような類のグラフに落とし込むことで、設計・製作作業の方向性や注力先をある程度は絞っていけます。 このグラフだけ見ると、フェアリングが低くかつ後縁が長くなっても、パイプフィレットがだいぶ悪さをしていそうだなぁ・・・と思います。 ん~、検証試験したい。 ●製作方法の検討 前任者の反省(リンク)を無視し、CNCによる3軸フライス加工を多様することに。 機械が働いているうちは別の作業をしたり、ご飯食べたり、休憩したりと、あぁ楽ちん。 ・・・となることを願っていたのですが、機械のトラブルに直面し、実質的には大半を手加工で成形する羽目に。 詳細は後述します。 ・材料選定 スケジュール的な事情で開発要素を増やしたくなかったので、従来から多用されてきた発泡スチロールを主材料として採用することに。 日本の人力飛行機は鳥コンを中心にガラパゴス的な発展を遂げてきましたが、発泡スチロール製フェアリングもその1つではないでしょうか。 海外の人力飛行機では、例えばノーズからボートにかけてが樹脂製やFRP製になっている事例はそう珍しくないかと。 ・CNCの加工限界 ワークサイズ:1830(L)*710(W)*280(H) 動作映像→リンク フェアリング加工時は、上の映像にあるように、z軸高さをかせぐためギリギリまで門を高くします。 発泡相手なので、CNCの剛性低下には目をつぶります。 ・分割 各部位を下図に示す名称で呼びます。 CNCの加工限界や材料取り、組立性などを理由に赤色枠で示すノーズと後縁上部には左右分割を、黄色枠で示すボートと後縁下部には前後分割を採用しました。 水色枠で示すドアと後縁中部は比較的曲率が小さな部品なので、発泡スチロール板をスキンとして使用することにしました。 気流の流れ方向の境界をきれいに作れるよう、要所要所で意識。 前パイプフィレット上部の赤色枠で示した部分は、CNCで削るまでもなかったのですが、最初の加工テスト用に。 ![]() 加工用Solidデータの一例です。 部品同士の合わせ面には余肉を残しておき、カップリング後に整形します。 余肉なしだと、合わせ面に欠損ができやすくなる上、結合時に分割境界がくっきり見えがちです。 余肉をつけておくことで、後々の修正も効きやすくなります。 まあこの辺は、CNCの加工精度や、ワークの位置だし精度に依存するところですね。 ![]() 綺麗につなげられるなら、どう分割しても外観状のゴールは同じですが、加工や組立、材料取りを考えると、多様なアプローチ方法があります。 個人的に、フェアリング製作における醍醐味の一つとして「自由度の高さ」が挙げられると思います。 例えば一次構造や主翼二次構造と比較すると、材料選定・製作方法選定・形状設計のいずれにおいても制限が少なく(性能的に問題があっても悪さをしにくく)、予算、保有技術・設備、材料加工性、重量、運用・・・etcを理由に選び放題です。 まあ、このような自由度の高さが逆に悩ましい点にもなりえるのですが。 ●製作 先ずはパイプフィレットを題材としてテスト加工。 作業場の家主にお守りをしてもらっています。 部屋中に新聞紙カバーをかけて、白い悪魔に対する厳戒体制! ワークの裏面は普通に両面テープ固定です。 発泡の切削程度なら大したせん断力は作用しませんが、ピンでとめられそうな箇所は気休め程度に固定。 ![]() 荒加工のピッチは、今回の刃だと13mmくらいまでいけました。(うろ覚え) 送り速度(Feed Rate)は当CNCの上限4000。 ![]() 仕上げ加工のピッチは1mmです。 こちらも送り速度は4000。 表面の仕上がりは写真の通りです。 発泡倍率や刃の種類、加工条件次第ではもう少し工夫できそうですが、どうせこの後、紙さすりで軽く撫でてやります。 一切手で仕上げたくない場合は、ピッチを細かくして加工時間をかけるだけ。 この作品を真ん中で割って、内側をパイプが通るように加工してやれば、パイプフィレットの付け根が完成。 ![]() この調子で他の部品も削っていきます。 近所のホームセンターで1,800mm*900mm*100mmくらいの大きな直方体を乱獲して回ります。 市販品は発泡ブロックの特注と比較してだいぶ安上がりです。 加工に失敗しても、街中を駆け回ればその日に入手できます。 購入時には、端面の精度を確認し、少しでも反りの小さなものを選んで買います。 品質は、各ホームセンターの保存状態次第といったところでしょうか。 市販品故に厚さが100mmまでしかとれないので、材料高さをかせぐためにスプレーのり77で接着。 材料の厚みは、ひどい場合で数mm程度のバラツキがあります。 加工パスを作る際は当然実寸が基本になります。 ↓同じLOTが見つかっても、個々の反りはお店での保存状態に依存するので、うまく重ならない場合もあります。 ![]() ボート用のワークを配置。 ボートは“前後分割”の部品です。 写真でも確認できますが、材料のバラツキに起因して重ねた発泡の端面はきれいに合わない場合が多いです。 というよりは、そこまでうるさく合わせていない、とも言えます。 どうせ切削中に消えてなくなる部分です。 ただし、分割部品の結合時に突き合わせる面(下図の場合は手前に見えている面)は精度を要求します。 ![]() 刃はギリギリまで長めに取り付け、曲率がきつい箇所でも切削できるようにしました。 それでも後輪周りのフィレット部には刃が入らず、後で手加工することに。 加工データは、後輪フィレット周辺だけ真の設計形状とは異なるものにしてあります。 CNCを活かしきれていない感が否めませんが、手で加工した方がはやいので・・・。 ![]() 荒加工が終わり、仕上げ加工へ。 丸1日以上かかりました・・・。 周囲に枠を残しておきワークを上下反転させれば内側も加工可能でしたが、 別パーツの切削も後ろに控えており、CNC占有時間の観点からワーク反転はあきらめました。 ぐぬぬ。 ![]() 続いて後縁下部も。 こちらもボート同様、“前後分割”の部品です。 ![]() こちらは“左右分割”の後縁上部です。 1,800mm近い長さを有する本フェアリング最長の部品です。 材料ストック寸法をフルに使います。気持ち良いですね。 この眺めが見たかったからCNC加工を採用しました(暴言)。 ![]() 後縁上部の荒加工中の様子。 この辺りで、CNC用の基板が真夏の過酷な高温環境により耐えられず、動作不良が発生。 スポットクーラーで基盤を直接冷やす等、いろいろ工夫しましたが、結局CNCは入院することに。 もう結構なお歳だったのに、何日も連続稼働させてごめんなさい。。。 ![]() なんとかCNCのトラブル前に削り終えた後縁上部です。 ・・・と言いたかったのですが、最初から最後まで手仕上げしております。 どぼん会のComputer Numerical Controlなら両側合わせて最速でも4日程度かかりますが、 Dobon Human Control(手加工)なら、実稼働時間でカウントして半日以下です。 左右分割部品の形状は、目をつぶって左右の表面を撫でて、対称性を確認しています。 結構良い感じだったので、外形治具等での確認も時間の都合上パス。 自分で設計した形状を自分で削っているので、3Dイメージはそう狂いません。 体力と集中力の勝負。 ![]() 鳥コン観戦で活躍する野外テントを使い、手加工エリアを臨時設営。 CNCが退院後も、高負荷で稼働させトラブルになるのは避けたかったという考えの下、残りの部品も手加工で作ってしまうことにしました。 外形を出すための治具を作る時間が惜しかったので、感覚だけで一気に加工していきます。 ノコギリand熱線(7割)→カッター(1割)→紙やすり40番(1割)→紙やすり120番(1割)くらい。 括弧内は時間配分の割合に関するイメージです。 チマチマ削っていては埒が明かないので、序盤で如何に攻めれるかが重要です。 写真は無いですが、ノーズに関しても左右とも手加工で成形しました。 ![]() ボートと後縁下部の内側の肉抜きが終わったところの写真です。 肉抜きは、まず輪っか状にした熱線で一気に繰り抜きます。 続いて、紙やすり40番で豪快に抉り、板厚10mmくらいまで攻めます。 最終的には紙やすり120番で板厚5mm前後を目指してやすりました。 重量の情報は、本記事の最後の方に載せてあります。 ![]() ボートには、上から当フェアリング最大の重量物である窓が乗ります。 その際に剛性が足りるか不明確だったため、所々に肉を残してあります。 左右に対である箱状の部分(写真中で養生テープが張ってある箇所)には後輪が収まります。 この写真の状態から、後輪軸を通す孔を明けると、前後から挟むようにして後輪が収まるようになります。 ボートと後縁下部のちょうど間に後輪軸が通るので、分割境界以外に開口部はできません。 なお、後輪はフレームのローリング方向の挙動に対して完全に追従することなく、滑走中にフェアリングに対して相対的に動きます。 この後輪の動きを許容できるよう、少し広めの空間が設けてあります。 大型部品の外形出しと内側の肉抜きが終わったので、一端組み付け具合を確認。 どぼん会メンバーはトレーラー製作で忙しい様子だったので、出身の学生チームから助っ人を呼びました。 どぼん会インターンシップの給料は、お昼のお弁当と、こちらの設計・製作ノウハウなど。 ![]() ここからは、気楽な工作の時間です。 下の写真は後縁中部の発泡スキンの製作の様子。 といっても、15mm厚の発泡板を買ってきて、熱線で適当に肉を抜いているだけ。 定規をマスキングで固定し、それをレールにして熱線を動かします。 一定速度で動かし、5±1mm厚くらいが均等に残るように削いでいます。 スキン1枚あたり10~15分程度ででき、良い息抜きになります。 息抜きのあまり真剣に作業していませんので、所々ガタガタしています。 外側の気流面は、購入時のままだと発泡スチロール特有のデコボコが残っており、 このままフィルムを貼るとデコボコが丸見えになりかっこ悪いので、紙やすりで適当に撫でておきます。 ![]() 上の肉抜きで出たゴミは再利用。 作業場のやぶけた障子代わりに。 ![]() 発泡スキンを後縁中部として組み付けていきます。 リブにはザ・スリムを使用。 バルササンドイッチは面倒なので嫌いです。 ザ・スリムは重いので、過剛性(=重量増加)にならないよう、作りながら考えました。 発泡スキンとザ・スリムの接着に際し、ちょうど瞬間接着剤を切らしていたので、作業場に転がっていたスチノリで適当に。 大型部品を取り付けていくだけなので組み付け治具は用意していません。 強いて言うなら、フレームが基準となる絶対の治具ですね。 組み付け時に補佐要員が1名いると嬉しいですが、1人でも何とかなりました。 ![]() こちらはドア。 後縁中部と同様、曲率がきつくないのでスキンはきれいに曲がってくれます。 ![]() 部品がそろったので、フレームへ固定していきます。 固定には養生テープを使用し、いつでも簡単にフレームから外せるようになっています。 接着剤を用いないのは、フレーム・駆動系整備/改修作業への思いやり(これはフェアリングのためでもありますが)。 後縁上部と後縁中部の間は、窓のラインを少しだけ変更し、フィルムで埋めるだけの隙間を設けました。 これは試験飛行中に暑いときにフィルムをやぶいて気休めのアウトレットを作ったり、後々アウトレット用の流路構造を設けることになった際に備えて改造空間を残しておくためでしたが、あまり活躍させられず・・・。 後縁構造は発泡スキンやエスレンシートで完全に閉じることもできますし、骨にフィルムを貼るだけでも成立します。 軽さや時間に応じて、お好みで。 個人的に、大きな面積をフィルムだけで閉じておくのは、飛行中にパタパタいうので嫌いです。 窓用の骨は各部品の位置が決まってから製作します。 この時点で、ドアと後縁中部以外にはフィルムを貼ってあります。 フィルムはPrestoの主翼と同じもの→リンク ![]() 後縁の先端をフィルムで閉じます。 どぼん会屈指の主翼フィルム貼り職人はスチームアイロン愛用派ですが、自分は重たいのが嫌なので市販のラジコンフィルム用アイロンを使用しています。 今回は後縁リブが華奢過ぎたので、結構シビアな張力調整が必要でした。 少し苦労しましたが、張力の綱引きでどうにかごまかしています。 後縁下部・中部・上部それぞれの結合には接着剤は用いず、フィルムで代用しています。 フィルムをやぶけば各部品の分離・修理・再取付けが容易です。 このあたりでチームロゴやスポンサー様のシールもペタペタと。 結構薄かったのでフィルムの上から貼っちゃいました。 ![]() 鳥コン機Prestoのときのフェアリングは発泡フルモノコック構造であり、当フィルムの張力で発泡が反ってしまわないよう、内側にも貼っていました。 今回はザ・スリムで強制してやることで、曲率の小さい平坦部位でも内側に貼らなくて済むようにしています。 組み付けた状態でドアに窓を貼ります。 写真は、フェアリング本体から降ろしてドアの外側にフィルムを貼り終えたところです。 窓の材料は0.2mm厚のポリカーボネートシートです。 ノーズ上部の窓も同じです。 窓貼りには、「強力」と書いてある強そうな両面テープを適当にチョイス。 1人だとさすがにきれいに貼れなかったので、2人で貼りました。 ![]() 最初の写真に戻ってきました。 パイプフィレットがついて、ようやくデザイン的にも落ち着きを得ました。 パイプフィレットは即席の発泡リブにポリカーボネートシートの端材をスキンとして巻いて作ってあります。 スキンが丈夫なので後縁材も不要で、幅5mmくらいのテープでしっぽを閉じてやるだけ。 結構重いですが、簡単に作れます。 軽くしたければ、発泡やスタイロフォームの熱線カットで。 ![]() 試験飛行中にパイロットの熱気がこもり過ぎるのも・・・と思い、気休めインテークを前パイプフィレットの下と、後ろパイプフィレットの上に設けてあります。 これらのインテークは、エスレンシートを巻いて作っています。 穴の大きさを変えたくなったら数分で作り変えられます。 アウトレットは後縁のフィルムをやぶいた箇所です(適宜変更)。 パイロットは1本飛ばし終わる度に息苦しさを感じるようでした。 抗力増加を最低限に抑えつつ効果的に換気をする方法は今後の課題ということで。 ●運用 前の方から見るとこんな感じ。 所々傷んできた頃の写真。 パイロット緊急フットブレーキ事件、瞬間接着剤で発泡を溶かされる事件、着地の衝撃で窓が座屈しパイロットキックで吹き飛ぶ事件、などなどいろいろありました。 幾度かの修理・改修で徐々に重くなっていきました。 お化粧には白いマスキングテープがオススメです。 ![]() 駆動系の調整はこんな感じ。 ドアが大きいのでやりやすい。 ちなみに試験飛行中にドアを閉じる際は養生テープ(白色)を使っています。 色つきテープを使うよりは、写真映りがマシになります。 最低限スターターとキャッチャーが配置できる人数で試験飛行が実施できるチームなら、素直にテープで止めるので十分だと考えています。 人手不足に悩んだら、マジックテープ等を使ってパイロットが自力開閉するのもアリかと。 ![]() トレーラーに入れた際はこんな感じ。 ラック等は作らず、ただ乗せるだけ。 もちろんフレームが走行中に飛び跳ねないよう、何点かでフレームの胴体パイプを固定します。 ![]() 滑走中はこんな感じ。 リカンベント機のフェアリングとしては比較的小型だと思っていますが、フェアリングが前後方向に長く、かつ主翼や胴体が小さいため、相対的にフェアリングが異常に大きく見えます。 ![]() 飛んでいるときはこんな感じ。 飛行中のフェアリングを見ながら、圧力分布や流線の妄想をします。 ![]() ●重量 ノーズ+ボート 約410g 後縁下部 約100g 後縁中部 約150g 後縁上部 約120g ドア左右 約210g(窓を除く) 窓 350g パイプフィレット 約150g その他(フレーム取付け部等) 約150g 合計1,640g フェアリングが前後に長く、全体の表面積が大きい影響が地味に効いている気がします。 フィルム仕上げのフェアリングは、1,500g程度が相場という感覚でいます。 前・後パイプフィレットを発泡で作ればもう-100g程度、ザ・スリムの使用量を減らして-100g程度、過剰視界な窓の面積削減で-100gを見込んでいます。 あとは発泡を削りに削って、せいぜい1,300gといったところでしょうか。 内容は以上です。 私事ですが、久々(4年ぶり?)の発泡いじりは楽しかったですが反省点ばかり・・・。 もっと外形出しに熱線を多用した方が良さそうだな~と感じてきた次第。 他チームの良いとこどりも加えつつ、より楽に、かつより綺麗に作りたいです。 ・・・ということで、1~2年前の話でした。 最近では、大型CNCでフェアリングの外側も内側もきれいに仕上げてくるチームが現れました。 完全な上位互換というやつですね・・・これは困った。 次はどんな作り方をしようか、妄想を膨らませ中です。 by SALA 2016/10/23(Sun)
SPIRIT OF THE SPEED @ HONDA AIRPORT2016/07/10(Sun)
SPIRIT OF THE SPEED @ Open The AIR2016/06/19(Sun)
SPIRIT OF THE SPEED @ Etude EYE* |